Last updated 99/06/28

日本人，浅薄な民族

　ワールドカップ，フランス大会．われらが日本代表の戦績は３戦全敗であった．

　幼い頃からサッカーに関わってきた人間として（まぁ，まともにプレイヤーだったのは小学生の頃だけで，ついでに補欠だったのは見逃してくれ），本当に悔しい結果だった．世界を相手にしてプレイヤーたちが萎縮したとは思わないけど，あれが日本代表のすべてだったとは，考えたくない．でも，この程度の結果でもよくやったほうだと思う．世界的に見ればアジアのサッカーは本当にまだまだレベルが低くて，ということは，まだまだ伸びる可能性があって，そのための指針が得られた大会であった，というのが冷静な評価だと思う．

　然るに何だ，あの報道は！！

　えらそうにいってる貴様ら，何人が本当にフィールドに立って，ボールを追いかけたことがあるんだ？
　特に，サポーターのふりしてるやつら！！本当に自分のいってる事がわかってるのか？ついでに，報道している人間でもいいかげんなのがいる．おい，福留！！！貴様など所詮，日テレ出の野球しか知らないような人間じゃないか！！それが何えらそうに，代表選手の批判なんかしてるんだよ！！貴様みたいな人間がいるから，中田みたいなやつがあんなに屈折しちまうんだぞ！！

　確かに，岡田監督，城，中田等々，批判はされてしかるべきだと思う．でも，あれじゃ次につながる批判じゃない．ただただ，勝手に期待してそれが裏切られたからって八つ当たりしているだけだ！！
　本当に本当にまともな総括をしてたのはNHKのサタデースポーツぐらいだった．
　こういう，サッカーというスポーツの土壌の薄さが今回の敗戦の本質的な原因だったと思う．

　しかし，それ以上に今回の馬鹿騒ぎから見えるのは，日本人という民族の醜さであり，愚かさであった．たしかに，数年前と比べて，多少はサッカーというスポーツが認知されてるかもしれない．しかし，冷静に考えれば，とても深夜に60%の視聴率が取れるほど定着しているとは考えられない．それが，なぜあんなに盛り上がったのか？どう考えても，意図的に流行らせたとしか思えない．今回のブームは作られたものでしかない．さらにだ，それが長期的なスパンを持ているかというと，そんなわけもなく，唯単に短期的な視聴率とか経済高価だとかだけを考えてやっているだけである．それに乗せられて安心している．典型的な大衆心理である．みんなが右を見てるから私も右を見る．それがこれほど顕著に現れるのもなかなか楽しいのだが，ある意味他人事じゃないだけにそう，楽しいとだけいってられるわけではない．

　日本人は，本当にこういうブームというのが好きである．明治に入ってからの日本の歴史を説明しようとすると，ほとんどこのブームに乗っかりやすい，という体質だけで説明できるのではないだろうか？近くは，今の不況も，バブルの時期も，ある意味で本当に状況は変化していない．唯，テレビの中で好景気だとか不況だとかいうと，みながそれにのっかて動いているから，本当にそうなってしまう．数年前の，政界激変とか，社会党の大勝，今の政治不信もそんなブームの一つでしかない．ついでに，どっかの無知な漫画家が書いているような社会問題に対する切り込み，なんかもそうだし．某アニメ番組のヒットなんてのもそんなブームだな．

　なぜ，日本人ってのはこんなにブームがすきなのだろうか？まあ，人間なんて基本的にそんなモンだって言い方もあるだろうが，それでもひどすぎる．どう考えても独自の民族性ってやつが効いているのだと思う．そう，浅薄なのである．なぜにこれほど，と思うほど浅薄な民族である．

　これは，日本人の体験に痛みが伴っていなかったため，誇りがないためだろう．こんなこというと，どこぞの右よりの人間みたいなこといってると思われるかもしれないが，そうではない．戦前だろうが，戦後だろうが，いつだろうが，本当に誇り高い人間などというのは一部しかいなくて，それ以外の人間に誇りなどないのである．
　日本人の原体験には革命とか被占領とかいう物がない．明治維新は上からの革命ではあったが，一般民衆には関係なかった．日本という国の上部構造が変わっただけで，下部の人間はそれを押し付けられただけである．第二次大戦後の占領体制も，ありゃ，占領というより，保護といってもいいぐらいである．つまり，民族的原体験として痛みを伴いながら何かを得たことがないのである．自分の何かを掛けて得たものでもないのに，それに誇りなど持てるか？そのくせ，結果だけがついてきてるものだから，批判だけは一人前にする．そういった卑しい，そして情けない民族性にマッチするのが右向け右的なブームだろう．誰かがそのネタも教えてくれるし，みんながやってるから批判されることもない．自分は痛くも痒くもなく，ただ騒いで，ただ批判するだけである．

　いいかげんにしろ！！，である．

　まあ，でも現状の日本はとうとうそれで何ともならなくなってきた感がある．今まで払わずにすんだ犠牲というやつを，今こそ払うときが来ているのかもしれない．それも，これまでのツケが溜まりに溜まってだ．もしくは，一部の人間に肩代わりさせてきた物を，民族全体として払うときが来ているともいえるだろう．

　払わないとき？
　そりゃ簡単だ．この国がなくなるだけ，唯それだけである．

　P.S.　それでも，ほんのわずかでもあの三連敗に悔しい思いをした人間が増えていたことが，救いであった．目指せ，2002年の決勝トーナメント出場である．